FFS理論とは
最適チーム編成を可能にするFFS理論
FFS (Five Factors & Stress) 理論とは、人事関連費用(人件費・教育訓練等)を抑えつつ、労働強化なしに組織生産性を上げることを目的として構築された、応用心理学系の理論体系です。組織人事心理学者であり経済学博士・教育学博士の小林惠智が、1979年から米国国防機関の依頼で研究・提唱したもので、その有効性はさまざまな検証により実証されています。
FFS理論は、大きく3つの特長を持ちます。
特長1:人と人の関係性を測定し、生産性の上がる最適チームを科学的に編成
従来より、適性診断や人材のタイプ分析において強く求められているのは、人と人の関係性の測定方法です。人それぞれの個別的特性をデータ化し、さらにその関係性を測定できれば、誰と誰を組み合わせれば最適な生産性を生み出すのか、科学的にチームを編成することができるのです。これまで人の感覚で行ってきたチーム編成を「より高い成果を出す」という視点で可能にしたのがこのFFS理論です。

実例として、米国国防機関でFFS理論の成果として検証されたデータによると、無作為で集めたチームによる作業では 8名集めても約6名分のアウトプットしか達成されませんでした。一方、FFS理論を用いて最適な組み合わせで集めたチームでは、8名で約12名分ものアウトプットを達成しました。無作為で集めたチーム(通常の組織はこれに当てはまります)と比較して、約2倍の成果です。
ハイパフォーマンスチームの設計を可能にした関係性測定理論は、後にも先にも世界中を探しても、FFS理論しかありません。これまで何となく感じてきた「ソリの合う組み合わせ」を証明し、再現し、目的に合わせて編成を変えられるFFS理論は、結果的に科学的なチームマネジメントを実現したのです。
特長2:5つの因子とストレスで個別的特性を把握
FFS理論では、5つの因子(Five Factors)とストレス(Stress)の強弱により、個々人が固有に持つ個別的特性(本来は個性の一部、以下個性)を数値化します。
5つの因子
FFS理論における5つの因子は、以下の5項目です。
これらの因子は個性を決定する源泉で、普通本人が意識することはありません。その人の表面に現れている行動パターンや、本人が自覚している範囲での物事の感じ方・考え方などから、帰納的な分析を行います。
5つの因子は、強弱の差こそあれどんな人にも普遍的に存在します。これらが単独で、あるいはいくつか組み合わされて性格を形成し、さらに「いくつもの性格の集合としての個性」を決定します。そして、その中で「最も強力な因子」がその人の最も特徴的な性格を形成し、表出されることになるのです。
ストレスとのかかわり
一般にストレスという言葉は、精神的・肉体的な疲労などのため、はっきりした原因もないのに体がだるかったり、不機嫌になったりする状態を指して使われていますが、実際には、ストレスは人体や組織に対して内外から加えられる刺激の全体を意味します。
このストレスは、人体や組織に悪いものとは限らず、良いストレスというのも存在しています。刺激がなければ人体も組織も興奮しない、つまりエネルギーを発動させられません。欲求がなければ行動が動機付けられないように、刺激に対する反応が行動をモチベートすると言えるでしょう。
活動のエネルギーを順調に引き出してくれるようなストレス、つまり良いストレスのことをユーストレス(eustress)と呼び、それに対して悪いストレスのことをディストレス(distress)と呼びます。FFS理論ではこれらのストレスも把握し、数値化します。
特長3:5因子の強さにより人材タイプを類型化

組織で類似したタイプの人材がどの程度いるのかを把握しておくことは、組織編成を議論する際に有効です。 FFS理論では、簡易4タイプで人材を分類しています。
タグボート型 : 偵察・先導に向く人材
リーダーシップ型 : 変革・拡大を得意とする人材
マネジメント型 : 管理・調整を得意とする人材
アンカー型 : 堅守・徹底を得意とする人材
この人材の4タイプ分類は、組織において必要な機能に当てはめると明確になります。
まず事業として成長可能性が大きい新規事業の芽を嗅ぎつけ、アイデアベースのものを具現化することを得意とする人材がタグボート型です。ただし飽きっぽい傾向があり、成功がある程度見えたところで次のアイデアに興味を持ちだすという側面があります。
そこでタグボート型が見つけた新規事業の芽を、リスクに対してチャレンジしながらグイグイと引っ張っていく人材がリーダーシップ型です。市場拡大、変革に強いタイプです。
次に、市場拡大し奪ったシェアを管理・調整しながらコストイノベーションを起こして利益を最大にしていくことが得意な人材が、マネジメント型です。
そして最後に、すでに獲得したシェアを徹底的に死守する、あるいは万難を排して徹底するなど守りの要としての活躍が期待されるのがアンカー型です。動いてはいけない環境や業務があり、その部分を死守することが得意なタイプです。
このように、事業がおかれている環境により、求められるタイプ・活躍できるタイプが異なります。 この4タイプを考慮して組織のミッションに合致するタイプを配置していくことが、事業の成功をもたらす可能性を高めていくのです。
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